GWの3日、美術展を三つ回った。
上野の東京都美術館で開催中の東光展では、(株)宙が応援している田中里奈先生が「森田賞」という東光会の重い賞を受賞されていた。
昨年の日展特選に続いての快挙、嬉しい出来事だが、画面から出て来そうな迫力の象は、そんなことはどこ吹く風。
田中里奈さんの魅力は、少しでも似たような作品を制作している人が全くいない、独壇場を持っていることだと思う。
田中さんが大好きな象のモチーフ、若冲や盧雪さんが喜ぶような創作を、これからも頑張って欲しい。
上野の東京都美術館で開催中の東光展では、(株)宙が応援している田中里奈先生が「森田賞」という東光会の重い賞を受賞されていた。
昨年の日展特選に続いての快挙、嬉しい出来事だが、画面から出て来そうな迫力の象は、そんなことはどこ吹く風。
田中里奈さんの魅力は、少しでも似たような作品を制作している人が全くいない、独壇場を持っていることだと思う。
田中さんが大好きな象のモチーフ、若冲や盧雪さんが喜ぶような創作を、これからも頑張って欲しい。
次に日本橋三越では白日会の吉田伊佐先生の個展。
会場に着いた途端に、目の前で100号の大作が売約になるという貴重な場面に立ち会わせて頂いた。
作家が心血を注いだ作品と、自分が築いた社長室の壁に飾りたい絵を探し続けていたという人がまみえた瞬間だった。
「こういう絵を探してきた」というお客さまと、「気に入って下さってありがとうございます」という作家、 画廊で二人が頭を下げあう姿。
お互い求める相手と出逢い、心と心がガッチリ抱き合っている場面を眼に焼き付けた。
その上高地田代池を描いた作品は、 昨年の日展に飾られていた時から、自分にとって最も吉田先生らしい代表作と思っていた。
この風景画の前で涙が止まらない人がいると、作家が話してくださった。
その人の心の琴線に触れた何かがわかるほど、癒される光のオーラや作家の誠実さが、絵の深いところから湧き出ているような作品だった。
一筆と一筆の間に、作家の全身全霊が煌めいている極意を会場で伺った。
絵はまっ平らなキャンバスであるが、石を投げ込む人がいれば、波紋を広げる深い泉でもあるのだ。
最後は日本橋高島屋で開催された立軌会同人、日大芸術学部教授の大庭英治先生の個展。
吉田先生の写実の世界から、日本橋を渡ったこちら岸は、ガラッと変わった抽象の世界。
おそらくこれほど明るく美くしい色彩を使いながら、しかも深みのある抽象画に出合ったのは初めてという気がして、作家の世界を照らす太陽の存在を思った。
作家はモチーフに自分の光を当てて表現する。
大庭先生はフランス・マルセイユで、フランス人の奥様と暮らした経験が、先生の中で太陽となって輝いているのではないか。
まさに「太陽がいっぱい」の作品に、心を奪われた。
それは作家からの、現実の世界からベールを剥がし、まだ見たことのない、もっと素晴らしい世界を見て欲しいというメッセージを頂いているような、新鮮な感覚だった。
薄絹に射す朝陽のように、光沢を放つ色彩。
現実の中では無色透明で見えない光を、作家の紡ぐ物語や音楽にそって、色彩豊な世界を見せ、聴かせてくれる。
今までより、もっともっと明るく、希望に満ちた美の世界を見いだそうとする画家の祈り、それが燦々とした光となって、大庭先生の作品から満ち溢れているのを感じて動けなくなった。
大庭英治個展を9月3日~9日の会期で仙台・藤崎のギャラリーで開催させて頂く。
4ヶ月後、この感動を次は東北の皆さまに味わって頂くのが、今から楽しみである。