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Channel: 思いのしずく
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奈良 渡辺邦彦展 2

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奈良近鉄百貨店は作家にとっても、私にとっても、初めての仕事。

「とっても可愛いです、これを頂いてもいいですか。」

と言ってくださった最初のお客さまとの出逢いには、ドラマがありました。

店員さんが作品を包んでいる間に、少し会話しました。

「今日は私の50歳の誕生日を記念して、たくさん買い物をしました。」

とおっしゃるお客さまの手元を見ると、百貨店の買い物袋をたくさん提げています。

ちょっと不思議な祝い方だなと思っていると、

「自分が50歳になったことを記念して、感謝したい人へのプレゼントを探しに来ました。この人形はお母さんへ贈ります。私が小さかった頃を思い出してくれたら嬉しい・・・。」

そういうことだったのか、と感心してしまいました。

袋の数からして、お父さんや他にも感謝したい人がたくさんいるようです。

疾うに過ぎた我が50歳、そんなこと微塵も思わなかった自分の誕生日、何も記憶に残ってないのもムベなるかな。

奈良に来たことのない渡辺先生が、個展の作家として生まれて初めて来た奈良で、今日は2度も涙が出てしまったと語ってくれました。

開店前の朝一番で、百貨店に近い秋篠寺で奈良の仏教美術に初めて触れ、伎芸天の美に涙がこぼれたそうです。

そして誕生日プレゼントのお客さまの言葉に心を揺さぶられて。

(写真の作品は渡辺邦彦「夢見」。文章とは関係ありません。)

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