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Channel: 思いのしずく
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シベリア・バイカル紀行 6

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ボルシチは絶品!
 
 
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イルクーツクの市場に寄った後、前回のアムール旅で味をしめたコニャック 「アララット」 の買出しに街中を歩いた。
限られた時間の中で酒屋を探さなければならず、文字が読めない悲哀を感じながら、子供のように看板の絵だけを頼りに端から見ていった。
そしてようやく酒屋を見つけたと思って飛び込んだのが、上の写真の看板、ジョニーウォーカーの宣伝と思ったが本屋の看板と知った。
店内には村上春樹コーナーも充実。
 
 
19歳の夏休み、もう40年近い昔になるが、北海道一周に旅立った。
その前から深く関心のあったアイヌコタンを回った。

そしてこの日本に、 「精霊=コロポックル」 を信じて暮らす人々がいることに衝撃を受けた。

衝撃はすぐに、自然と共に生きる彼等への限りない羨望変わった。

これが自分にとって、シャーマニズムとの最初の邂逅であったことを思い出した。

その前は、北海道より北の土地にはロシア人が住んでいると思っていた。

ところがロシア人が来たのは日が浅く、それ以前からニブヒ、ウイルタ、オロッコ、ギリヤーク、エベンキ、そしてアイヌといった少数民族の人々が暮らして来たということがわかった。

近年、アマゾンの奥地ブラジルとベネズエラに暮らす少数民族 「ヤノマミ」 の精霊信仰が紹介されているのを見て、強烈な衝撃を受け、地球の懐の深さに改めて希望を抱いた。

今回、日本人のDNAの源流と言われるバイカル湖の周辺に憧れを抱いて旅立ったが、現地に赴いて改めてシャーマニズムに触発された。

いま読み進めている 「日本人はるかな旅」(NHK出版) の中で、次の文章に出会った。

「考古学者のあいだには、 “地下の真実、地上のロマン” ということばがあるという。」

岩画こそ手付かずの最後の地上のロマンと語る岡本光平〈岩画〉プロジェクトに参加して来て、それはシャーマニズムと切っても切れない世界であることを教えられた。

旅に同行した歴史学者セルゲー先生は、「古代人は岩画を彫ったのは精霊と信じて、信仰の対象として祈り続けてきたんです。」 と語っていた。

どんなに科学が進んでも、地上に精霊が存在する限り、ロマンは無くならないと思う。

精霊を信じられることは、人類にとって最後の癒しであろう。

情報社会から隔絶され、シャーマニズムの気に満ちていたバイカル湖、 オリホン島最北端の岬、サガン・ザバ、岩画のメッカ シシキノ、いずれも鳥肌の立つような場所に立てたことは貴重な体験だった。

「美」 という文字は 「美味し=うまし」、羊を火であぶる肉のうまさから生まれた。

「麗」 という文字は 「麗しい=うるわしい」、鹿の立派な角の美しさと毎年生え変わる生命力の象徴を表している。

いずれも文字のアイデンティティーは、遊牧狩猟民族が生命をつなぐために鹿と羊を最も大事にして来たライフスタイルから生まれたことを物語っている。

何気なく普段使いしている文字の中にも、極東ユーラシアに興亡した同胞の数千年にわたる歴史が物語られている。

美しいものを見て、美味しいものを食べ、麗しいものに憧れる現代日本の日常から離れ、凍土のツンドラの上に束の間の夏にだけ甦る大草原を見ながら、我々の人類はるかな旅は終わった。
 
※岩画に関しては、株式会社 宙 HP  http://members3.jcom.home.ne.jp/art-sora.orimo/ をご覧ください。
 
 
 
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                       ポプラの木陰、ほんとうに気持ちよかった。
 
 
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      9月の末にはポプラが黄金に染まる。街が最も美しく輝くシベリアの秋にまた来いと言われた。
 
 
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                   ポプラ並木と木造建築が印象深いイルクーツクの街角
 
 
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