本物の天然岩ガキを食べたいと言ったら、山形の友人から鳥海山の麓にある遊佐町を薦められました。
鳥海山のブナ林から染み込んだ雪解け水が、ミネラルをたっぷり含んだ伏流水となって湧き出る遊佐の海、ここで豊富なプランクトンで育ったのが天然岩ガキ。
採れたての岩ガキを求めて片道600キロ、庄内への旅。
岩ガキは8月末に産卵のため身が小さくなるので、その前の7月~8月中旬が身がふっくらしてベストシーズンになるのだそうです。
まずは標高2200メートルの鳥海山の五合目まで鳥海山ブルーラインを登ると、下界は35度の暑さにも関わらず山肌の所々に残雪があるのに驚きました。
日本海の水平線から山頂まで一気に見渡せるパノラマは、まさに絶景かな。
宿は遊佐町の酒田屋旅館をネット予約してありましたが、着いてみてその素晴らしさに感激。
波打ち際に建つ旅館からは、食卓からも、岩風呂からも、日本海の飛島脇に沈む夕日が楽しめました。
翌朝、日本海の静かなさざ波が耳を洗う音で目が覚め、枕から頭を上げると縁側越しにどこまでも青い日本海が広がっていました。
さて、夕食で供された岩ガキはレモンが小さく見えるほど大きく肉厚でぷりっぷり、甘みの奥から旨味がじんわりわき出て、新鮮そのものの歯応えを堪能しました。
大自然に抱かれた静かで、豊かで、美味しい暮らし、こんな贅沢な時間の中で一生暮らしている人がいることに嫉妬を覚えました。