冤罪という言葉が他人事でなく、頭に浮かんだ。
これまでゴッホの作品は作者生前に誰にも認められず、1点しか売れなかったと言われてきた。
その1点を買ったのがゴッホの恋人であり、娼婦だったと歴史書は記してきた。
日曜の朝、ホテルの外は大雨の空模様であったが今回出張中の地元紙、山梨日日新聞の書評を開いて、大変晴れ晴れした気分を味わった。
それはわが愛するゴッホの恋人ラシェルの冤罪が晴らされたからである。
書評によれば、
「著者は、ゴッホが暮らしていた当時の、南フランス・アルルの住民1万5千人以上のデータベースを構築。当時の新聞記事や書簡などと照合して、丁寧にゴッホの人物像をあぶり出した。通説では売春婦とされていたラシェルが、実は清掃作業員であったという新事実の発見も、7年の歳月を要した根気強い調査の副産物の一つである。」
3年前、ニューヨークのMoMAでゴッホの「星月夜」を見た。めくるめく聖なる作品だった。
そのあとコネチカット州ニューヘイブンにあるエール大学美術館で「The night cafe 1988」を見た。8号くらいの小品ながら、42億円の評価があるらしい。
この作品は人気のある「夜のカフェテラス」の店内風景、このカフェの2階にゴッホは暮らしていた。
ゴッホの真実に新たな光を当てようと、人生を賭ける人々が後を絶たない。
それだけ愛されるゴッホと恋人の風景に吹く風に、祝福を送りたい。