2008年3月、 世界金融危機の逆風の中、独立創業の航海に旅立つ無謀さに迷いながら、ニューヨークに旅立った。
MoMAやメトロポリタンで現代アートの洗礼を受け、巨匠たちの創作のエネルギーに圧倒された。
帰国後すぐに奈良に向かった。
1250年続く東大寺二月堂のお水取りを体験するためだった。
3月13日、二月堂の舞台から夕日が沈むのを眺めていると、東大寺の真上に沈んだ。
前日にはわずかにずれていた。
ピンポイントで東大寺に重なる太陽に背中を押され、大自然のご加護をもらったような気がして船出を決意した。
2週間行われるお水取りの儀式の中で、クライマックスとなる達陀(だったん)行。
その炎の燃え盛る様を目に焼きつけて10年、様々な人の人生が燃やす炎に励まされて来た。