Quantcast
Channel: 思いのしずく
Viewing all articles
Browse latest Browse all 577

キルギス 天馬の子孫

$
0
0
津島佑子さんの「黄金の夢の歌」は、彼女が愛した狩猟・遊牧に生きたキルギスの世界を描いた物語だった。
中央アジアの大草原を何千年も走り抜けてきた人々、その悠久の歴史と民族の魂を今に伝えようとする津島さんの祈りの叙事詩を愛読してきた。
ところが今回めずらしくキルギス人の監督、主演による映画が封切られたので迷わず馳せ参じた。
「馬を放つ」は美しい自然のなかで、妻と幼い息子と3人で慎ましく暮らす男の物語。
草原という文明から遠い環境に対応した日常は、その慎ましさが宝物のようにまぶしく、現代人が失ったものだ。
ストーリーよりも馬が主役である。草原を走る馬はパーフェクトに美しい。
津島さんの本に次の文章があった。
「『漢』の武帝が天馬の子である『汗血馬』を求めて、遠征軍を送りこんだのが、『大宛』の国、つまり、フェルガーナ盆地だった、というのは有名な話。『大宛』のひとたちは、自らを『天馬の子』の子孫だと称していたらしい。」
大宛はキルギスからパミール高原を越えた西アジアの世界だが、草原を風のように行き来した遊牧民に国境はない。

イメージ 1


イメージ 2


Viewing all articles
Browse latest Browse all 577

Trending Articles