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Channel: 思いのしずく
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栄枯盛衰

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11年前のあの夏も暑かった。アスファルトに落ちる影が濃かったのを覚えている。

2008年4月、(株)宙を独立創業した。
独立だから、それまでたくさんあった取引先さんとの縁はすべて無いものとした。
そんな中で、仕事を通じて尊敬し、仕事を離れてもお付き合いしたい画廊の責任者が仙台と大阪にいた。そのお二人に独立を伝えると、応援すると言ってもらえた。
その2つの百貨店の画廊のお陰で今日の自分がある。
NHK「ドキュメント72時間」が名古屋丸栄をやっていた。
丸栄は名古屋の中心地・栄の老舗百貨店。1615年創業の十一屋呉服店からはじまり1943年に設立された。
創業から403年、設立から75年の今年6月30日に閉店した。
番組はその最後の3日間、72時間を追っていた。名古屋城天守閣の木造復元に盛り上がる景気いい話題とは裏腹に、名古屋の地元老舗百貨店の落城を追う画面、最後の朝礼に臨む社員さんの列に、馴染みのスタッフさんの顔もあり胸が痛んだ。

3番目の取引先として丸栄に入りたいと願っていた私は、それ以前から名古屋でお世話になっていたご婦人Aさんに、会ってお願いしたいことがあると連絡した。
11年前の8月18日、名古屋駅の喫茶店で丸栄の経営陣と親しくされていたAさんに仲介役をお願いしたら、快く引き受けてくださり、その場で丸栄の画廊責任者にアポを取ってくださった。
丸栄の画廊に着くと責任者の方が待っていて、取り引きが即決、会期も決定した。
丸栄で4年お世話になり、その後紆余曲折あり、現在は名古屋三越で企画をさせて頂いている。
あの日、 80歳を過ぎて腰の曲がったAさんが、丸栄に向かう炎天下の歩道を汗を滴らせながら一緒に歩いてくださった姿が、昨日のことの様に目に焼き付いている。

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