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Channel: 思いのしずく
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豊臣家の人々

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正月以来、仕事で大阪と京都を行ったり来たりしながら、寸暇を利用して史跡を訪ね歩きました。
今までは権力の象徴的な大坂城には余り興味が湧かず、一度しか訪れていませんでしたが、今回はなぜか大坂城が気になりました。
いつも寄る大阪駅の本屋、「旬」の本を豊富に取り扱う駅中書店が売りの「 ブックスタジオ」をのぞいたら、旬でもないのに司馬遼太郎さんの「豊臣家の人々」が一番目立つところに有りました。
本来なら平々凡々の幸せな一生を暮らせたはずの庶民が、身内に位人臣を極めた関白がいたために、異常な運命に巻き込まれていった10人の数奇な人生を描いたのが本書です。

縁あって、大阪のど真ん中のお宅に2泊お世話になりながら、豊臣家の人々の悲劇を読み耽りました。
読んだ翌朝、大阪歴史博物館から見た大坂城は、それまでに感じていた威厳の欠片もなく、肩を落とし哭いているように見えました。
司馬さんの「国盗り物語」「関ヶ原」「新史太閤記」では立身出世物語に高揚感を味わってきましたが、司馬さんはこの作品で逆のベクトルを描き、普遍的なバランス+-0を書き残したような気がしました。

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