東京の西武新宿線下井草駅前にあるギャラリー五峯で開催中の岡本光平展。
DMの春爛漫の色彩と、土筆やわらびや草花のいのちが土から芽を伸ばしたような文字が初々しい。
いつものパワフルな岡本光平とは思えないナイーブなメルヘン世界、その幅広さこそ作家の魅力である。
作家の言葉がその心境を語っている。
「日々の暮らしのなかで、ホッとするというのは大事な“余白”です。何もないところにこそ何かがあるのでしょう。たまにはのんびりした字を書きました。」
もうすぐ桜前線が日本列島をピンクに染め上げる。日本人が最も愛する桜の満開を豪快に、半折2分の1に書いた「さいたさいたさくらがさいた」。
さ、さ、さ、さ、が4つの音色で春の歓びをさけんでいる。
現代アートの絵に書の讃という大変心躍る作品のコーナーもあった。
「素直」という作品は、美味しそうなフルーツを次々追いかけ食べている唇のわきに満足のハート、カラフルさがジューシー。
「花笑」の絵などこれらは30年前に岡本先生がニューヨークのアートフェアに招かれた時に、主催者から御礼にと知的障害者さんが描いた作品を贈られたもの。
以来いつか世に届けたいと温めていた宝物が、今回岡本光平の讃とコラボして作品に結晶したものである。
さらに日本最古の飛鳥時代の瓦の拓本に讃を書いた「古香」など、歴史の探訪家岡本光平ならではの作品も並ぶ。
けっして広くないギャラリーだが、飛鳥時代からU. S. A. コンテンポラリーへ、日米アール・ブリュットとの共演、にっぽんの春まで遥かな思いを満足させてくれる作品が満開。
■岡本光平 花黙不語 ~花は野にありて~
3月25日まで。
ギャラリー五峯 03- 3395-9956
書と篆刻のリクエストライブは23日・24日の午後1時~6時